フォトクロミック蛍光タンパク質、Dronpa(ドロンパ)

Regulated Fast Nucleocytoplasmic Shuttling Observed by Reversible Protein Highlighting
Ando R., et al. Science. 306:1370-1373. Nov 2004


研究チームは、ウミバラ科のサンゴから発見したタンパク質を改変することにより、異なる2つの波長の光でラベルと脱ラベルを自在に制御できるフォトクロミック蛍光タンパク質「Dronpa(ドロンパ)」を開発し、上記の技術的な問題を克服することに成功しました。このタンパク質は「ドロン」と消えて「パッ」と光ることができます。蛍光が消える様子と現れる様子を、それぞれ”Dron”と”pa”で表しています。Dronpaをガラス板の上に塗りつけたところ、書き換え可能な光メモリーとして作動することがわかりました。紫色と青色のレーザーを使って、蛍光の「ON(光る)」・「OFF(消える)」を切り換えて、情報の書き込み、読み出し、消去を何回も繰り返すことができました。
この技術を細胞生物学に応用して、MAP kinase(※2)という細胞内情報伝達分子の細胞質―核間の往来を観察しました。Dronpaを融合したMAP kinaseが核膜を通過する動きを、同一細胞で繰り返し観察したところ、細胞増殖因子刺激に伴い、MAP kinaseの核への流入および核からの流出両方ともが亢進することを初めて証明することができました。
この発表についての言及記事
新規たんぱく質「ドロンパ」『Do you think for the future?』